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【シネマ時間 vol.14】「さまざまな“愛”を描いた」映画3選!

2018/06/13by 映画.comシネマ


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アミューあつぎ映画.comシネマのプログラム・ディレクターが、様々なシーンにおススメの映画をピックアップ。ゆっくり、のんびり、映画についてお話ししませんか?

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こんにちは!アミューあつぎ映画.comシネマの神山です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

すっかり通り過ぎてしまったのですが、このコラムを始めてからいつの間にか1年が経っていました…ここまで続けてこられたのは応援してくださる読者の皆様と、サポートしてくださるnoma編集部の皆様のおかげに他なりません。遅ればせながら、本当にありがとうございます。

皆様の愛情を感じつつ、今回は「さまざまな“愛”を描いた映画」3作品をご紹介します。

心を満たしてくれる映画ばかりですので、今回もご注目いただけると嬉しいです!

『デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり』


©UteFreund

天才ピアニストでアカデミー賞受賞作『シャイン』のモデルとなったデイヴィッド・ヘルフゴットは、幼少期より神童とうたわれ、その才能を発揮。数々のコンクールで⼊賞し、世界屈指の⾳楽⼤学・英国王⽴⾳楽⼤学に特待⽣として⼊学。⾳楽の殿堂ロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートを⼤成功させるが、直後に精神病に陥る。ピアノなしで 11 年もの間を精神病院で過ごした彼のピアニストとしてのキャリアは終わったかと思われた。しかし⾳楽の⼒と、妻ギリアンの深い愛と助けにより、再び⼈⽣とコンサートのステージにカムバックを果たす。そんな天性のピアニスト、デイヴィッドと彼を深く理解し、愛して寄り添う妻ギリアンを追ったドキュメンタリー。

溢れ出る音楽愛、人間愛、夫婦愛!

通りすがりの人に「やぁ、僕はデイヴィッド。君の名前は?」と言って激しく握手し、ハグし、キスをする…本作の中で当たり前に繰り返されるデイヴィッドの挨拶は、真似しようと思ってもなかなかできないことです。でも、私の前に突然彼が現れてもきっと同じことをするでしょうし、私もそれを拒否しないでしょう…言葉で説明するのは難しいのですが、デイヴィッドが目の前にやってきたら、彼から愛情が溢れているのが見えるだろうな、それを避ける選択肢は自分の中に出てこないだろうな、と感じるのです。
本作を通して見えてくるのは、そんなデイヴィッドの愛に満ちた価値観、世界観、人とのふれあいの中で生きることへの幸福感。そして彼がその感覚を持ち得るのは、紛れもなくギリアンというパートナーがいるから。二人の運命的な出会いから現在までについて語るギリアンからもまた、愛に満ちた幸福感を受け取れます。幸せな人生において、パートナーの存在って本当に重要なんだなぁとしみじみ思ってしまいました。
それだけでも満たされた気持ちになるのですが、やはりデイヴィッドのピアノを愛してやまない、奏でずにはいられない音楽に対するはかり知れない愛情を目にできることも、本作の大きな魅力です。とにかく嬉しそうに楽しそうにピアノを弾く姿からパワーをもらえることは間違いありません!

予告動画

アミューあつぎ映画.comシネマにて6/2(土)〜6/15(金)上映!

「デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり」|映画.comシネマ

『君の名前で僕を呼んで』


©Frenesy, La Cinefacture

1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。彼は大学教授の父の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らすことになっていた。はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで不思議な磁石があるように、ふたりは引きつけあったり反発したり、いつしか近づいていく。やがて激しく恋に落ちるふたり。しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づく…。

一生に一度の恋愛に共感!

美しい、美しすぎる映画です。美青年が美しいイタリアの地で、美味しいものを食べ、美しい音楽を奏で、美術品に触れ、一生に一度の美しい恋をする…眩しすぎます。35mmフィルムで撮影された鮮やかで穏やかな映像、ティモシー・シャラメの表情、アーミー・ハマーの肉体美、これだけでもう大満足です。自分史上かなり上位の「目の保養映画」に位置したことを断言します。
が、もちろんそれだけではありません。
正直なことを言うと、鑑賞前は「同性愛を描いた映画」というレッテルを無意識に貼っていました。だから一歩外れたところから観るような気持ちでいたのですが、本作は男だ女だということは一切関係無い、全くもって純粋なラブストーリーでした。『君の名前で僕を呼んで』というタイトルの意味がわかった時、自分自身が初恋の時に感じた気持ちが湧き上がってきました。恋する気持ちにとても強く共感して、同時にすごく切なくなったのです。
そして何よりお父さんの存在!マイケル・スタールバーグ演じるエリオのお父さんが終始チャーミングで知的で素晴らしく、だからこそラストの語りにものすごく愛を感じて、涙を流さずにはいられなくなります。
愛に満ちたラブストーリー、まずはぜひ体感していただきたいです!

予告動画

アミューあつぎ映画.comシネマにて6/30(土)〜7/13(金)上映!

「君の名前で僕を呼んで」|映画.comシネマ

『さすらいのレコード・コレクター 10セントの宝物』


©Cube Media 2003

アメリカはメリーランドに暮らす最強のレコード・コレクター、ジョー・バザード。自宅の地下室に降りるとそこには壁一面に25,000枚の78回転SPレコードが鎮座している。ブルース、カントリー、ブルーグラスなどなど様々なジャンルの彼のコレクションは、世界で最大、そして最高の品質と言われている。1920年代後半に作られた“最高の音楽”は、発売当時たった10セントで売られ、今では個人宅のベッドの下や地下倉庫に眠っている。ジョーはそれらを約50年ものあいだ“発掘”し続けてきたのだー自分の本当に好きな音楽を聞くために!
あらゆる音楽ファンが抱く願望を体現するこの男のミッションは、「本物のアメリカン・ミュージック」のレコードを探し、救うことだった!

こだわり抜かれたレコード愛!

自分のこだわりを突き詰めて、のめりこんで堪能できる人は幸せだと思います。ジョー・バザードとは正にそういう人で、観客は嬉々として自分のこだわりについて語る彼に圧倒されながらも楽しく鑑賞する…本作は、そんな作品です笑。何かに夢中になっている人を見ると自分も楽しくなりますよね。何故かというと、そこには本物の“愛”が溢れまくっているからなのだなと、本作を通して感じました。
ジョーは解説とともに、いくつか貴重なレコードを私たちに聴かせてくれます。その語り口は、「こんなにわくわくしながら音楽に入っていけることなんて初めてかも」と思えるくらい見事。彼の知識と長年のDJの経験(独自にラジオを始めてしまったというエピソードにも注目!)と、音楽への愛情がなせる技なのでしょう。そしてそのレコードの取り出し方がまたすごい!目印も何も付いていない、ただただずらーーーーっとレコードが並んだ棚から一瞬で目当ての1枚を見つけ、聴き終わると同じ場所にさっと戻す…宝の在り処を知っているのは彼だけなのです。
本作は2003年に作られました。アナログレコード人気が再燃している今だからこそ日本で公開されるわけで、正に“発掘された”映画!こんな映画との出会いもお楽しみいただければと思います。

予告動画

アミューあつぎ映画.comシネマにて7/14(土)~7/27(金)上映!

「さすらいのレコード・コレクター 10セントの宝物」|映画.comシネマ

アミューあつぎ映画.comシネマでお待ちしております

いかがでしたか?

映画を鑑賞するときは、できるだけ広い器でもって制作者の作品に込める“愛”を感じ取りたいと思っているのですが、それには感覚だけではなく知識や経験ももちろん必要なわけで…今回もコラムを書く中で自分の至らなさを痛感している私です。

1回観て純粋に感じたことはとても重要だと思いますが、その中で受け止めきれなかったことを学んだうえで2回目、3回目と繰り返し観たり、数年後、人生経験を蓄積したうえで再度観てみたり…そう考えると映画との付き合い方は様々だし終わりがありませんよね。そして時間が必要…!笑

そんなことを考えながらも、映画を通して様々な愛に触れられる幸せを噛み締めております。

それでは今回も、最後は大尊敬するお二人の映画偉人の言葉で…
映画って、本当に良いものですよね。
さよなら、さよなら、さよなら!

 

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場所:神奈川県厚木市中町2-12-15 アミューあつぎ9F 小田急線本厚木駅 東口から地下道直結。徒歩約5分。
営業時間:9:00〜22:00
定休日:1月1日
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アミューあつぎ映画.comシネマ副支配人、プログラム・ディレクター。映画も、三度の飯もデザートもお酒も大好きです。厚木を拠点にした「地域共生型映画館」という新しいスタイルの映画館づくりに奔走中。
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