海老名西口の扇町にひっそりと佇む、隠れ家的レストランをご存知でしょうか?
日本酒と地産食材を活かしたお料理が食べられるお店「蔵元佳肴いづみ橋」。
海老名の老舗酒蔵泉橋酒造が手がける、完全予約制の泉橋酒造の日本酒と料理のペアリングを提供してくれる、ちょっと珍しいレストランです。
窓から中の様子が見えないので、一見、入りづらそうな雰囲気ですが、一歩踏み込むと、そこは最高なお酒と料理に出逢わせてくれる素敵なレストランでした。
蔵元が手がける新しいおもてなし
中に入ると、泉橋酒造の商品がズラリとお出迎えしてくれます。
日本酒好きなら、この光景ニヤニヤしてしまいます。
選び放題です。
全商品のライナップではないそうですが、レストランを利用しなくても商品だけ購入することも可能なので、こちらでも購入できるのは嬉しいですね。
さて、中に入ってみると。。。。
洗練されたシックな空間。
こんな風なお店だったんですね〜!すてき!
天井も高く落ち着いた色合いで統一された店内。
個室などもあります。
予約制なので、特別な日や記念日などに、ゆっくりとお酒やお料理が堪能できそうです。
そして、なんとオープンキッチン。
お料理を作る料理長やスタッフの姿が見られるのはとても貴重ですよね。
こちらが料理長の根本真さん。
根本さんは宮城県仙台市で和食修業後に独立し、北仙台「真・海・菜・食・しん」をオープン。
蔵元の橋場さんがお店に行った際、その料理に惚れ込み、7年間の交流を経て仙台から海老名へ転居し、蔵元佳肴いづみ橋の料理長となりました。
蔵元佳肴いづみ橋で扱うコースは「おまかせコース」のみ。
そして、「日本酒ペアリング」というコースをつけるとお料理に合うベストな泉橋の日本酒を提案してくれるという蔵元直営レストランならではの新しいシステムがあります。
その日その日の旬な素材を使ったお料理なので、ほぼ毎日お出しするお料理とお酒は変わります。
お酒が飲めない方はお料理だけのコースでも、大丈夫。
飲めない方用のドリンクラインナップも海老名産のフルーツジュースや秦野の高梨茶園のお茶など美味しそうで興味をそそられるものばかり。
味覚と視覚で日本酒と料理を楽しむ
全ておまかせコースなので、どんなメニューが出てくるか行ってからのお楽しみ!
ですが、今回は特別に蔵元佳肴いづみ橋さんがおすすめするお料理とお酒のペアリング(結び合わせ)を一部ご紹介してくださいました。
こちら、美しい器で上品に盛り付けられた「海老名産の丹波黒豆」。
そして、このお料理にペアリングされた泉橋酒造の日本酒は「生酛仕込 純米大吟醸 雄町」。
海老名産の丹波黒豆を作られている農家さんがいるんですね!
見た目も大きく、艶が光る黒豆。
口に入れた瞬間、ホクッとした食感で上品な甘さが口いっぱいに広がります。
食べた後にくっと「生酛仕込 純米大吟醸」を頂くと、すっきりした味わいの中にキリッとした辛味があり、黒豆の優しい甘さとそれを引き立てる純米大吟醸の日本酒の相性が抜群でした。
お次は「芽キャベツ、蕪、落花生、氷結いちご、自家製リコッタチーズの彩りサラダ」。
お皿も涼しげで、ビタミンカラーが豊富なので見ているだけで元気が出ます。
そして、こちらのサラダと一緒にペアリングしてくれたお酒は「雪だるまラベルの活性純米にごり酒 微発泡」。
シュワシュワシュワ〜と綺麗に注いでくださいました。
これは美味しそう〜!食欲が湧きます。「このサラダは甘味、塩味、酸味、苦味、旨味を表現しています。
一緒にお出しした活性純米にごり酒は時間が経つごとに、辛味から甘みに変化していきますので、こちらのサラダも時間が経つごとに味に変化がつくよう、お酒と一緒に楽しんで頂ける味わいにしています。」と料理長の根本さん。
「おまかせコースは温かいオイルかスープで始まります。
最後までお酒を楽しんで頂きたいので、温かいもので胃の粘膜や消化吸収を助けるお料理をと考えています。」
お料理やお酒に対する味覚だけでなく、お客様への心遣いまで考えられているとは驚きです。
料理長の思惑通り、サラダを食べた瞬間今までに食べたことのない、コロコロ変わる味わいにとても感動しました。
そして、料理長や蔵元も太鼓判を押す秋限定メニュー「秋刀魚の黄金煮」。
このペアリングに選んでくださったお酒は秋にしか飲めない「秋とんぼの生酛純米山田錦」の上燗※1。
この秋刀魚の煮付けがもう柔らかくて柔らかくて、今まで食べた煮付けはなんだったのかという衝撃の美味しさ。
骨までストレスなく食べられます。
添えられた梅干しは小田原の十郎梅。
この梅も酸味と甘みのバランスがとても良く、秋刀魚と合うのです。
そして、少し温まった生酛山田錦の純米酒の香りがさらに広がりを増し、ピリリとした辛味で煮付けの味をまとめてくれます。
「一本まるごと、12時間煮込みじっくり手間と時間をかけているのでぜひ食べてもらいたい一品ですね。」と根本さんも自信を持ってお出ししている一品。
出てくるお料理や泉橋酒造の日本酒はどれも丁寧に選ばれたものだと実感できます。
一品一品を蔵元で「お酒にどの料理を合わせるか」を吟味してお出ししているそう。
お皿にもこだわりが光ります。
味覚だけでなく視覚でも楽しめるお料理。
「食べることの楽しさ」を教えてくれた気分になりました。
※1:程よい酒の燗のこと。熱燗と温(ぬる)燗の中間程度。
次世代に残す、温故知新な考え方
こちらで日本酒をお燗してくれます。
「日本酒は冷やと熱燗だけでなく、温度を10段階に分けて楽しめるんです。温度によってそれぞれ素敵な名前があります。
- 雪冷え 5℃
- 花冷え 10℃
- 涼冷え 15℃
- 冷や 20℃
- 日向燗 30℃
- 人肌燗 35℃
- ぬる燗 40℃
- 上燗 45℃
- 熱燗 50℃
- 飛び切り燗 55℃
と、これだけの温度に名前がついているので、そういった日本らしい部分もしっかりお伝えしながら泉橋の日本酒を楽しんでもらいたいと思っています。」と根本さん。
それぞれの日本酒に最適なグラスでお出しできるよう、グラスの種類も豊富です。
世界ではワイングラスで日本酒を飲むのが主流になってきているのだとか。
料理長の根本さんは語ります。
「昔の料理屋さんは料理にあった丁度よい温度のお酒をお出しする”お燗番”がいたんですよ。
でもそれを知らない人の方が多い。
それに日本人にとっての昔からあるお酒って日本酒ですよね。
外国では地産のワインやビールを消費することが当たり前なのに、日本酒が日本人にとって当たり前なお酒ではなくなっている。
もっと日本人にとって大切なものを残していくべきだと思うんですよ。」
「私たちはもともと日本にあったことを再構築して今の時代に伝えていこうと思っています。
それは泉橋酒造で行っていることも言えるのですが、レストランで目指している部分は2次産業と3次産業がかけ合わさった6次産業。
米づくりから酒づくり、そして直接お客様が召し上がるお料理まで自分たちの手で届けることを大切にしています。
日本人の日本離れを戻す、そして次世代に残す仕掛けをこれからもしていきたいですね。」
泉橋酒造だからこそ、できること。
それを考え、残し、伝えていくことはとても大変なことですが、酒蔵もレストランも見ている先は同じ。
地元に根付き、そして日本のあるべき姿を見直し届けていく。
そして、これからの日本を担う若者まで泉橋酒造が提案する日本酒や食のあり方が広がれば、きっと泉橋酒造が目指している日本の食文化に近づけるのかもしれません。
今後の泉橋酒造が提案する食文化にますます期待がかかります。
ぜひ、一度蔵元が提案する「蔵元佳肴いづみ橋」へ足を運んでみてください。
海老名市扇町12-33 フィールズ三幸 1階
ご予約専用電話番号:046-205-0128
営業日&時間:火~土 16:00~22:30 /日・祝日14:00~20:30
定休日:基本的に月曜日(ひと月6日の定休日)
蔵元佳肴WEBサイト
泉橋酒造WEBサイト
▷酒蔵見学ツアーについて http://izumibashi.com/visit/
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